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東京労災相談室

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お役立ち情報

派遣社員の方の労災

1 派遣社員も労災保険の対象となる

労働者災害補償保険法(以下,「労災保険法」と言います。)は,保険給付の対象を「労働者」としています。

そして,ここでいう「労働者」は,職業の種類を問わず,事業又は事務所に使用される者で,賃金を支払われる者をいうとされていますので(労働基準法9条参照),派遣社員も労災保険の対象となる「労働者」に該当します。

2 派遣元会社・派遣先会社どちらの労災保険を適用するか

労災保険法3条1項は「この法律においては,労働者を使用する事業を適用事業とする。」と規定しています。

そのため,ここに言う「使用する」が,労働契約関係にあること(=派遣元会社との関係)を意味するのか,実際に指揮命令をしていること(=派遣先会社との関係)を意味するのかが問題となりますが,同法においては,前者の意味で解釈されています。

したがって,派遣社員の方が労働災害に遭ったというケースにおいては,派遣元会社が労災保険の適用事業となります。

3 派遣元会社と派遣先会社のどちらに損害賠償責任があるのか

派遣社員の方が労働災害に遭った場合は,派遣元会社と派遣先会社,それぞれの注意義務違反を追及し,発生した損害の賠償を請求していくことが可能です。

⑴ 派遣先会社の損害賠償責任

ア 派遣先会社と派遣社員の間には,労働契約関係は存在しません。

そのため,派遣先会社は,派遣社員との関係では,労働契約法5条に基づき「労働者がその生命・身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう,必要な配慮をするという義務」を負うことはありません。

イ もっとも,派遣社員は,派遣先会社の指揮命令の下で労務を提供しているのですから,このような関係にある以上,派遣先会社は,派遣社員の業務の実情を把握し,業務の遂行に伴う疲労や心理的負荷等が過度に蓄積して労働者の心身の健康を損なうことがないように注意する義務を負っているとされています。

そのため,派遣先会社にこの注意義務の違反が認められる場合は,労災に遭った派遣社員の方は,派遣先会社に対して,発生した損害の賠償を求めることができます。

⑵ 派遣元会社の損害賠償責任

派遣元会社は,派遣社員との間で労働契約を締結していますので,当然,派遣社員に対して,労働契約法第5条に基づく安全配慮義務を負います。

そして,派遣元会社が派遣社員に対して負う安全配慮義務の内容は,「派遣社員の就労状況を常に把握し,過重な業務等が行われる恐れがあるときには,派遣先会社に対してその差し止めあるいは是正を求め,必要に応じて派遣を停止するなどして,派遣社員に対する被害を予防する注意義務」であるとされています。

したがって,派遣元会社にこの注意義務の違反が認められる場合は,労災に遭った派遣社員の方は,派遣元会社に対して,発生した損害の賠償を求めることができます。

4 派遣社員の方が労災に遭ったときにすべきこと

先ほども述べましたとおり,派遣社員の方が労災に遭った場合は,派遣元会社の労災保険を利用することになります。

そのため,派遣社員の方は,派遣先会社で労働災害に遭った場合,その旨を速やかに派遣元会社に報告する必要があります(派遣先会社が,被災した派遣社員の方に代わって,派遣元会社に報告をしてくれる場合も多いです)。

5 労災に関する疑問は弁護士にご相談ください

これまでにご説明しましたとおり,派遣社員の方が労働災害に遭ったというケースにおいては,派遣先会社と派遣元会社のどちらの労災保険を利用すればよいのかという点や,派遣先会社と派遣元会社のどちらに損害賠償請求をしたらよいのかという点など,通常の労災事件よりも複雑な点が多々存在します。

そのため,派遣社員の方で,労働災害に遭ってしまいお困りの方は,一度,お困りの点に関して,労働災害に詳しい弁護士に相談をしてみることをおすすめいたします。

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