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Q&A

うつ病の労災は認められますか?

  • 文責:所長 弁護士 石井浩一
  • 最終更新日:2022年4月28日

1 労災と認定される可能性はあります

以下では、厚生労働省の精神障害の労災認定基準というパンフレットの記載を参考にご説明いたします。

参考リンク:厚生労働省・精神障害の労災補償について

2 精神障害の労災認定要件

下記、①~③の要件を満たす必要があります。

① 認定基準の対象となる精神障害を発病していること

うつ病は、この要件に該当します。

② 認定基準の対象となる精神障害の発病前おおむね6か月の間に、業務による強い心理的負荷が認められること

⑴「業務による強い心理的負荷が認められる」とは、業務による具体的な出来事があり、その出来事とその後の状況が、労働者に強い心理的負荷を与えたことをいいます。

⑵心理的負荷の強度は、主観的な判断をするのではなく、職場における立場や職責、年齢、経験などが類似する人である「同種の労働者」が一般的にどう受け止めるかという観点から評価されます。

③業務以外の心理的負荷や個体的要因により発病したとは認められないこと

3 要件② 認定基準の対象となる精神障害の発病前おおむね6か月の間に、業務による強い心理的負荷が認められることの判断基準

⑴ 労働基準監督署の調査に基づき、発病前おおむね6か月の間に起きた業務による出来事について、別表Ⅰ「業務による心理的負荷評価表」(前記「精神障害の労災認定」P.5~P.9)により「強」と評価される場合、認定要件の②を満たすと判断されます。

⑵ 「特別な出来事」に該当する出来事がある場合

別表Ⅰの「特別な出来事」に該当する出来事が認められた場合に、心理的負荷の総合評価が「強」と判断されることになります。

⑶ 「特別な出来事」に該当する出来事がない場合

以下、ア~ウの手順によって心理的負荷の強度を「強」、「中」、「弱」と評価していきます。

ア 具体的出来事のあてはめ

業務による出来事が、前記パンフレットの別表Ⅰの「具体的出来事」のどれに当てはまるか、あるいは近いかを判断していきます。

イ 出来事ごとの心理的負荷の総合評価

上記アで当てはめた「具体的出来事」の欄に示されている具体例の内容に、事実関係が合致する場合には、その強度で評価していきます。

合致しない場合には、個々の事案ごとに「心理的負荷の総合評価の視点」を参考に評価していきます。

ウ 出来事が複数ある場合に全体評価

①複数の出来事が関連して生じた場合には、その全体を一つの出来事として評価します。

②関連しない出来事が複数生じた場合には、出来事の数、それぞれの出来事の内容、時間的な近接の程度を考慮して全体の評価をしていきます。

エ 小括

具体的出来事の心理的負荷の評価が「強」となる場合にのみ、要件②を満たすと判断ることになります。

4 要件③業務以外の心理的負荷や個体的要因により発病したとは認められないこと

⑴ ③-1 業務以外の心理的負荷による発病かどうか

業務以外の心理的負荷評価表(前記パンフレット別表2)を用いて、心理的負荷の強度を評価していきます。

例えば、離婚した、別居した事実は、心理的負荷の強度が最も重いⅢと評価されます。

業務とは関係ない出来事で、心理的負荷の強度「Ⅲ」に該当する出来事が複数ある場合などは、それが発病の原因であるといえるか、慎重に判断していくことになります。

⑵ ③-2 個体側要因による発病かどうか

精神障害の既往歴やアルコール依存状況などの、被災労働者本人の個体側要因については、その有無とその内容について確認し、それがうつ病の発病の原因であるといえるか慎重に判断していきます。

5 まとめ

うつ病と診断(要件①充足)された方は、業務による心理的負荷の評価が「強」と評価され(要件②充足)、別表2の強度Ⅲに該当する出来事が認められる場合であったり(要件③充足)、強度Ⅲに該当する出来事が認められずに、かつ個体側要因がない場合(要件③充足)などに、労災認定がされる可能性がでてくることになります。

スペースの都合上、全てを網羅しての説明はできておりませんので、詳細は、弁護士までご相談ください。

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